無目的人生

常に人生さまよっているアラサー。自由人で超ポジティブな台湾人夫がいます。

今歩いているこの道がいつか懐かしくなればいい

今週のお題「わたしの好きな歌」


ある一曲だけを狂ったように毎日繰り返し聴いてしまう時期がある。


高校生のころ、親が離婚した。3組に1組の夫婦が離婚を選ぶ時代だ。珍しいことじゃない。でも当時の自分にとっては初めての人生の試練であり、重大な事件だった。
わたしと弟は母親についていった。親はそれぞれ弁護士を雇って壮絶な闘いを繰り広げた。争点は「子どもの養育費をいかに払わずすませるか」。
父は自営業でそれなりに稼いでいたはずだが、子どもに使うお金があるなら、自分の遊びや外車に使いたいとはっきり言う人だった。それは、離婚の前からずっとそうだったから、改めて傷つくなんてことはなかったけれど、離婚調停はものすごくエネルギーを搾り取られる作業だったと思う。
母は余裕がなくなり、毎日気が立っていた。それを子どもにぶつけてくるので、家の中が常にピリピリして、最悪だった。
 

家に帰りたくなくて、高校からの帰り道、最寄り駅に降りてから徒歩15分で着く家の周りを、毎日2~3時間徘徊した。iPodで音楽を聴きながら。
いま思うとなんて無駄な時間!(笑)
あの数時間を勉強にでも当てていたらもっといい大学に行けたはずだと今になって思う。でも、当時の自分にとっては必要な時間だったのだ。たぶん。
当時聴いていたのは、エレファントカシマシフラワーカンパニーズ尾崎豊、そして、斉藤和義
1995年生まれの女子高生が聴くにはなかなかシブいラインナップだろう。

中でも一番聴いていた曲が、斉藤和義の「幸福な朝食 退屈な夕食」。

今歩いているこの道がいつか懐かしくなればいい
今歩いているこの道はいつか懐かしくなるだろう


吐き捨てるようにとりとめのない歌詞が並ぶこの曲を聴くと、当時17歳の自分が抱えていたものが少し軽くなるような気がした。
自分の力ではどうにもできない試練だけど、いつかこの時期を振り返って懐かしく思えるくらい、楽しい未来を過ごせているかなとかそんなことを考えていた。
実際辛い時期を無事乗り越えて、楽しい大学生活を送って、この曲のことは忘れていった。


なぜ今になってこんな5年以上前の話をするのかというと、最近になってまたこの曲を毎日聞くようになったからだ。

今歩いているこの道がいつか懐かしくなればいい
今歩いているこの道はいつか懐かしくなるだろう

いま、あの当時よりも歌詞がしっくり入ってくる気がする。
日に日に大きくなる転職先への不安。公務員を2年で辞めて、これからどんな生活が待っているのか想像もつかない恐怖心。

でも、高校生の時抱えていた不安とは大きく違う。
この不安は、自ら選んで自ら作り出したものだ。巻き込まれた不幸ではないし、希望をもって選んだ道だ。

幸福な朝食 退屈な夕食

後悔の数 事は成り行き

このままではこのままです

でもそのままが一番かもよ

今が引き時 僕は気まぐれ

偶然と必然 キャッチする努力

次にこの曲にハマるときは、どんな状況でどんな気持ちで聴いているのだろう。
楽しみにしていよう。

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