無目的人生

常に人生さまよっているアラサー。自由人で超ポジティブな台湾人夫がいます。

得るものが多かった派遣バイト

新卒で公務員になったわたしだが、大学時代は4か所でアルバイトを経験した。
うち3つは固定のバイトで、長いものは3年間続けた。

大学3年生の1月だったと思う、そろそろ公務員試験に本腰を入れなければという段になって、一番長く続けていた固定バイトを辞めた。
とはいっても、予備校のローン代など毎月の出費があるので、以前から登録だけしていた派遣バイトを利用して、空いた時間に不定期で働いていた。

派遣バイトでは、いろいろなところに派遣されおもしろい経験をさせてもらった。

カビキラーのようなスプレーを製造する下町の町工場、恵比寿の会場で服飾の展示会スタッフ、池袋のクラブで男性アイドルのチェキ会スタッフ、トラックの駐禁対策、かと思えば、二子玉川付近の寺に派遣されたこともあった。


正直派遣会社自体は怪しげな会社で、わたしたち登録スタッフを雑に扱ったり、人によっては派遣先でセクハラを受けたことを訴えたのに平気で無視されたりと、あまりいい印象はない。
しかし、バラエティに富んだ様々な場所で働く機会を与えてくれたので、わたしは利用して良かったと思っている。


派遣先での就業は、ひとりで行うときもあれば、他のスタッフと駅で待ち合わせて複数人で働くときもあった。
たった一日のうち数時間の労働を、初対面の人と行うのはなかなか面白い経験だ。

下は高校生から、上は30代くらいまで、見た目もこれまで歩んできた人生も、全く共通点のない人たちが集い、一応挨拶と軽い世間話をして、昼ごはんもなんとなく流れで一緒に食べ、お疲れ様でしたと言って別れる。

自分と同じように就活の合間にバイトしている人はむしろ稀で、モデルをやりながらとか、バンドをやりながらとか、なにか夢を追いかけながら、生活費を稼ぐために派遣に登録している人が多かった。


公務員試験に受かって、第一志望の役所から内定を貰ったあと派遣をしていた当時の自分は、そういう夢を追いかけているお姉さんたちを見ながら密かに優越感に浸っていたのは事実だ。

モデルの卵も売れないバンドマンも、生活の余裕がなさそうだし、身分の安定なんてないし、それに比べて自分の未来はどう考えても明るい!と。

それが、たったの3年後にはこの環境はダメだ〜と自主退職するのだからあの時の自分を笑ってやりたい。



旅行も同じことなのだが、結局自分を一番成長させてくれるのは、人との出会いだ。
派遣バイトでいろいろな人種と交わったことで、あの当時はなにも感じなかったけれど、今になってわかることもある。

なんとなく見栄とプライドで公務員になったわたしは2年と続かずにリタイアの道を選んだが、モデルの卵はまだモデルとして活動し、InstagramTwitterで発信している。
どちらが充実した人生を送っているか??
どちらが自分の時間を有効に使っているか??


そのときやりたいことを全力でやる。上手くいかなければそのとき考える。
それくらいシンプルで良いのかもしれない、人生。